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レース後に予測もしていない緊急事態が。命が縮まる思いでした

レース後に予測もしていない緊急事態が。命が縮まる思いでした

トップ画像からも想像できるかもしれませんが。。。昨日の食中毒の記事でコメントしている方がいましたが、ウルトラをなめるなと。まあ確かにランナーとしてはかなりいい加減な自分がトレーニングもせず、体調不良のまま出ているのを見るとそう思うかもしれませんが、そんな次元ではない出来事が起こりました。

本人もありのままを書いてくれたらという事なので書くことにします。

今回のレース、自分が出るというのを知って、ここ数年自分の練習にずっと付き合ってくれていた渡辺さんも出たいという事で一緒にエントリーして出ることにしました。元々練習することが少ない自分にとって、彼が唯一の練習パートナー。年齢は30歳。ウルトラトレイルの経験が豊富。とにかく山が好きで時間さえあればトレランに出かけていました。勿論自分よりはるかに速く、UTMFでも総合14位(日本人5位)、ハセツネは9時間ちょうどぐらい、フルマラソンは2時間50分ぐらいなのでかなりのレベルの高いランナーです。

で、昨日の100kmのレース。渡辺さんは最初の50kmを4時間50分ぐらいで通過していました。これは去年の優勝タイムより早いペース。コースが去年は楽過ぎたというクレームが出て、今年は去年より厳しいコースにしている事を考えればかなりのペース。で、77kmの通過ポイントではかなりのペースダウンをしていました。実は日中に異常に気温が上がり、おそらく33-4度ぐらいまで上がっていました。コースには日陰は殆どありません。待てども待てども90km地点の最後のチェックポイントを中々通過して来ないので、係の人に確認したところ、このチェックポイントのコンピューターでトラブルが発生し、データが出てくるには時間がかかるとの事。まあトレイルなのでペースはどこまでも落ちる可能性はあるのは分かってはいましたし、90km地点の計測にトラブルが出ているので、きっと90kmも通過して歩いてゴールに向かっているんだろうなぁと。そして、もうそろそろゴールだなぁと。(結果的にはこの予測は合っていたのですが。。。)でも流石に帰ってこないのでひつこく、聞いていたらいきなり、‟先ほどの渡辺さんの記録を何度も訪ねていたご友人の方、大至急本部まで来てください”と呼び出されました。嫌な予感が。。。

既に救急車が呼ばれ、タンカーに乗せられている所に自分とバンコクの裸足ランニングクラブの通訳出来るラド君が一緒に乗って最寄りの総合病院へ。最寄りといっても、トレイルのレースなので会場からぶっ飛ばして30分。意識はあるのはあったのですが、とにかく、苦しいみたいで暴れていて、痙攣も起きていて、そして筋弛緩剤みたいなのが打たれ。。。血圧がどんどん上がり、このままいったら血管が破裂する恐れがありますって。。。色んな彼の過去の医療の記録を知りたいので直ぐに身内の方に連絡取ってください。 って言われても。。。彼の携帯も暗証番号がかかっているし、一緒にずっと練習はしてきたけれどよくよく考えたら彼の電話番号以外何も知らない事に気づかされる。 とりあえず集中治療室に入り、とにかくと思い、彼のフェイスブックに投稿もしたりしているうちに連絡が取れ、一旦落ち着きました。フェイスブックがここで凄く役に立ってくれました。

そして、目が開いたりはするものの、言語障害なのか記憶障害なのかとにかく言葉が話せない。。。脳の何かが腫れてきているのかもという話になり。。。

そこから更に検査のために1時間半ぐらい離れた病院に搬送され。この時点で、とにかくどうなるかわかりません。血圧は下がったものの心拍数が落ちない。。。後は彼次第です。五分五分の確率で大変な事態になるかもしれませんっていう話をされたのは覚えています。そしてここでまたちょっと一旦話せるようになり、でも明らかに言語障害があるような話し方になっていて。この時は流石に自分も泣きそうでした。一緒に通訳で来てくれた彼と二人でパニック状態。で、ようやく意識がはっきり戻って来て結果的に普通に話せるようになりました。もう少し遅かったら確実に何かしらの後遺症害が残ってましたよって言われました。

何が起きたのか。実は彼が倒れたのは100kmウルトラレースの99.7km地点。ウルトラマラソンに出ている人なら特に彼がどういう気持ちでいたのかがわかると思いますが。後少しっていうので相当無理してたんだと思います。だって99.7kmも走って残りたった300m。普通に歩いたって3分ぐらい。実は彼はずっと倒れた後も足を動かそうとしてたんです。意識がぶっ飛びながらもおそらく頭の中ではゴールしていないのでゴールするまで走り続けようとしていたんだと思います。どれだけゴールしたい気持ちが強いのか。。。

猛暑の上に、自分もそうでしたが彼も帽子も被らず、そして何よりも痛かったのが、塩分を一切持ってきてなかったんです。自分は普通に持ってきていたし、余分もかなりあったので聞かれればレース前にあげたのですが、何も聞かれなかったし、当然持っているだろうって。だってトレイルの練習でさえちゃんと必ず持ってきていて自分にくれるぐらいでしたからね。スポーツドリンクもエイドにあったので飲もうと思えば飲めたのに、変な感じのだったから水しか飲まなかったと。そう、この塩分(電解質)の極端な低下により、本当に危ない状態になっていたんです。彼だけの経験がありながら。。。枯渇した状態で途中で歩くしかなくなり、ついには動けなくなり、最終的には倒れてしまったんです。かなり危険な状態で。

何よりもぞっとしたのは、たまたまこれ99.7km地点で道路のわきで、ゴールから近いから救急の人もすぐ行けたからよかったけど、もしこれが普通にトレイルの途中だったら。。。100kmの部に参加したのはたったの110人。そのうちの6割は棄権しているんです。ってことは実質50名弱。これだけ彼がペース落ちたにも関わらず総合順位はこの時点で6位。この近辺には1時間に一人しか人が来ないんです。一般ハイカーやランナーは0。応援はゴールだけ。猛暑の中、日陰は殆ど無く。そんな状況で倒れて1時間後にランナーが気付いたとしても。。。そこから人を呼びに行って。。。もし車が入れない所だったら。。。 もう色んな事が頭をよぎりました。 たられば話はあまり好きではないのですが、流石に今回の話に関しては本当に色んな事が頭の中を巡りました。

今彼は大夫状態は良くなりました。そして、明日友達と練習の約束しているからって。。。そして仕事があるからってことで、病院側が少なくとも数日は病院で安静にしていて欲しいというのを押し切り、誓約書を書いて退院しました。もし何かあったら。。。 本人の意思がある限り、本人の事である限り、本人がどうしたいのか。おそらく自分も彼と同じ立場だったら同じように抜け出していたと思います。まだ完全に全ての数値が平常に戻っているわけではないですが。 ここでも自分も色々考えましたが、個人の意思を尊重することにしました。

(これは今編集しています。たった今彼と連絡が取れ無事に帰国することが出来ました。ただ、自分の判断。。。本当に考えさせられます。でもとにかく無事で良かったです。今はとにかく早く完全回復して普通に山を元気に走れるようになって欲しい、ただそれだけです。)

それにしても、こんな状況の中、実はバンコクの裸足ランニングクラブのメンバーが色んなところでサポートしてくれました。皆が泊まっていたところから100km以上も離れた病院まで何度も往復してくれたり。。。異国の地で。ましてや彼らにとっては渡辺さんの事は誰もレース前日まで知らなかったわけで。ほとんどのメンバーが25kmの部にチャレンジして、しかも初トレイルの人が多く。かなり疲労もしていたり、30人近くクラブから参加していて皆でパーティーをしている最中にも関わらず。返す言葉がないぐらい親切にしてもらいました。ここでも改めて有難うございました。本当に。

それにしてもとにかくほっとしました。とにかく渡辺さん、元気になってよかった。本当に良かった。また走れるようになれるので良かった。裸足とか裸足じゃないとかじゃなく、とにかく体が元気な事に感謝!

もう自分は最近色んな事が起きすぎて頭が混乱しそうですが、とにかく、これもブログの面白さなのかな。その時の臨場感的なものが。というわけで、とにかく書き続けます。応援宜しくお願いします!実は緊急事態の時にお金と保険との関係の事でこれまた本当に考えさせられてしまいました。お金と命。本当に考えさせられます。 あー頭が混乱してきた。寝よう。

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全てのランナーに裸足ランニングをトレーニングの一部としてでも取り入れてもらい、効率良く怪我をしない走りを身につけてもらいたい。ただそれだけです。

2 Comments

  1. フルトラマン · 2014年2月10日 Reply

    経験豊富で速い人でも補給がうまくいかないとそんな状態になってしまうんですね。熱中症って怖いですね。寒い日本から暑いタイに行って体温調節がうまくいかなかったりしたんでしょうか?
    経験があまり無い上に練習もしてない人は尚更気を付けないといけませんね。

    • Yoshi · 2014年2月11日 Reply

      自分も食中毒で食べ物を受け付けれなくなってしまったのですが、補給本当に大切ですよね。特に塩分は。これは欠かせない。練習云々よりは、食をどうするか。ただ、これも結果的には練習の中でどうとっていくかを見つけ出していく必要があるんだと思います。体を動かし続けながらエネルギーや電解質を入れ続けるわけですから。ウルトラトレイルで気温が物凄い高い、もしくは低い場合で更に参加者が少ない、そして道路から離れているとなると本当にリスクが上がりますよね。色々と考えさせられます。 トレーニング積んでいようと積んでいなかろうと出場権があれば出るのは個人の自由だと思います。ただ、無理はしない事。やばいなって思ったらリタイヤする勇気なんだと思います。

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